Music Characters

 


「(欧米)ポップスファンから見た和製ポップスの流れ」其の7の巻

前回に登場した細野晴臣と坂本龍一、高橋幸宏のグループ「イエローマジックオーケストラ(Y.M.O)」は70年代後半に現れ、「テクノポップ(所謂コンピューター・ミュージック)」というジャンルを流行らせたのですが、この「テクノポップ」は少し変り種ではありました。と言うのは、それまで英・米のポップスを巧みに模倣・消化してきた日本のJポップ界に於いて、このグループが参考にしたのは“ドイツ”で誕生した音楽ジャンルであったからです(それまで日本のポップスに影響を与えていた英・米以外の国のポップミュージックとしては、フランスのシャンソン、イタリアのカンツォーネが一般的)。

このジャンルはドイツの「クラフトワーク(Kraftwerk)」なるグループが先駆者と言われていて、70年代初期に出現し、実験音楽的な要素が強く、当時はこの手グループは「ピンクフロイド」等の“プログレシッブ・ロック”の分野に入っていたのですが、その電子音の奏でる何とも無機的な浮遊感とギクシャクした音感の目新しさ・方法論にいたく刺激されたのが上記の細野晴臣で、早速このテクノミュージックの日本的解釈に取り掛かり、80年代の「テクノポップ」の大潮流に発展させて行きました(Y.M.Oの優れていたところは音楽もさる事ながら、そのイメージ戦略にあったと思います。

即ちビートルズがマッシュルームカットに襟なしスーツの揃いのステージ衣装でアピールしたように、彼らはテクノカットと呼ばれる独特のヘアスタイルと揃いの赤い人民服という、何ともユニークなスタイルでイメージアピールをしていました)。この80年代は、第二次ディスコブームであったのと、この時期欧米のポップ・ロックシーンで台頭してきていた「ニューウェーブムーブメント」にマッチして見事に流行の最先端になっていったのです。それにも増して当時の日本は、バブルの真っ只中で世の中はイケイケムードに押されていました。それと、今思うと何となく軽薄な時代性もあり、この「テクノポップ」のピコピコ音とデジタルビートのダンスミュージック的アプローチが受けたのでしょうか?



terada-saurus
<生態>
●俗名:テラダザウルス(爬虫類ではありません。いちおう霊長類の仲間です。)
●別名:ミスター パラドックス
●生息地:夜の盛り場、主に歌舞伎町あたり。
●習性:もちろん夜行性。チェック柄の擬態で人の目を惑わす。
●性格:良く言えば凝り性、実態はかなりの粘着質。パラノイア()とも・・・・・。
●血液型:・・・謎。
●年齢:不明、気は若い。
●特技:毒舌(始まったら止らない独断場)。
●苦手なもの:ゴマすり、お世辞。(するのも、されるのも)
●飼育上の注意:できるなら近寄らない方が無難。ハマる覚悟が必要。

 
さて、「テクノポップ」という用語は和製英語で、欧米等では電子楽器やコンピューターを主に使用するポップミュージックには一般的には使われていません。あちらでは“Synth Pop”とか“Electro Pop”と呼ばれているようです。また、同じように電子楽器やコンピューターを使用する音楽ジャンルには「テクノ」があり、何かと混同されがちですが、こちらの「テクノ」はよりハードな(トランスの様な)ダンスミュージックで「テクノポップ」とは明確に区別されています。日本における「テクノポップ」の造語の出所については未だに不明なのですが、極めて日本的である“言いえて妙”なネーミングだと思うのですが・・・・・?
という訳で「イエローマジックオーケストラ(Y.M.O)」は‘80年代に「ライディーン」等のヒットを出し一世を風靡します(彼らは世界戦略を打ちたて、欧米でのコンサートツアーを敢行し成功を収めていて、アメリカでは「ソウルトレイン」に出演して、何故かアーチー・ベル&ドレルズの「タイトンアップ」をカバー演奏していました)。彼らは自身の曲の他にイモ欽トリオの「ハイスクール・ララバイ」等のミリオンセラーヒットも生んでいます。また、折からの漫才ブームにも乗り、コメディアンにも結構楽曲を提供していて、そこそこのヒットを出しています。その後、アイドル達の曲にも「テクノポップ」調のバック演奏を伴うものが現れるのですが、これは「テクノ歌謡」と呼ばれ日本独自の音楽ジャンルに発展していきます。

この「テクノ歌謡」はY.M.Oがブームであった‘80年代に隆盛しポピュラーになるのですが、一過性の流行のきらいもあり、どちらかというと“時代のあだ花”的性格のジャンルであったと思います(当時「テクノ歌謡」と言う名称は無く、後年になって付けられたジャンル名称)。
音楽的手法としては、従来の歌謡曲にシーケンスフレーズ(デジタル・リズム)と手動シンセフレーズの電子音を乗せ、テクノポップ風にしたものが多かったようです。代表的な曲としては沢田研二の「TOKIO」、榊原郁恵「ロボット」、松田聖子「天国のキッス」、中森明菜「禁区」、C-C-B「Romanticが止まらない」、矢野顕子「春咲小紅」、ジューシィ・フルーツ「ジェニーはご機嫌ななめ」、イモ欽トリオ「ハイスクール・ララバイ」等々。当時この手法では、歌手の特定の曲を対象にしてアレンジ・制作することが多く、歌手やグループそのものを「テクノポップ(歌謡)」のアーティストとしてプロデュースし、売り出す例はあまりなかったようです。

しかし、最近になって(2007年)“パフューム”なる女性3人組のアイドルユニットが人気を集めていて、彼女達が演っているのが「テクノポップ」なのです。Y.M.Oにしても、その後に登場した「テクノポップ」のアーティストは殆んどが男性のユニットで(電気グルーブ等)、しかもアイドル性はあまり無く、クラブ系ダンスミュージックの様相を呈していましたので、このパフュームの登場は日本の「テクノポップ(歌謡)」女性アイドルユニットとしては初の現象だといえます。果たして、このパフュームは「平成のテクノポップ版“キャンディーズ”」になりえるでしょうか? 楽しみなところです。
では、今回はこの辺で・・・・・・・・、次回もよろしく。

 

Back Number ⇒|08.3.1608.2.1608.1.1607.12.1607.11.1607.10.1605.4.1605.3.1605.2.1605.1.1604.12.16
04.11.1604.10.1604.9.1604.8.1604.7.1604.6.1604.5.16