<放談4月>
「クリスティーン」の告白
お花見の頃も終わり、世間ではいよいよ新年度が始動しはじめています。それにしても新しいスーツを身に着 け、颯爽と街を行く新人社員達を見るにつけ、彼ら(彼女ら)のこの国における将来にも一抹の不安を感じる今日この頃ではあります。国の未来は若い人達にも期待をするのですが、先達の方々の良き指導にもかかっています。その意味で、ということですかナ・・・・・・・。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア) 
(ポンッ) テラダ某よ、Have a nice day じゃぞヨ今回はチト変り種の客人を連れてまいったぞ。お初の御婦人じゃ。しかも、現役じゃぞ、ユウレイではないぞヨ!

クリスティーン嬢: (スポポン “すっぽんぽん”ではありませ〜ん) ハ〜イ、クリスティーンよ・・・よろしくネ。

テラダ某:





あのー、トマスおじさん。すんませんが、いきなり現役でユーレイではないとおっしゃられても。その〜 あッ、失礼しました。テラダ某と申しますです(ウッ、いい女、ドギマギ)。
でッ、これはどないなってまんねん(照れ隠しの関西弁)。





 
トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
フムッ、彼女はクリスティーン・キーラー嬢といってな、1962年に我国(英国)において発生した政界スキャンダル「プロヒューモ事件※1」の当事者の一人なんじゃ(といっても主役級)。前回チャーチル卿の時に出た「ハニー・トラップ※2」が気になってな、と言うか面白そうなのでのう、当時の話しを聞こうと、無理やりおいで願ったという訳じゃナ。イギリス人は(昔から)こういうゴシップ話が大好きなんじゃヨ、テラダ某・・・・。

テラダ某: ヘーッ、トマスおじさんも結構ミーハーなんすネッそれにしても、さっきからいろいろと疑問があるんですが、イギリス人のゴシップ好きは何となく解りますが。まず、ユウレイじゃない現役の方をどうやってお連れになったんです。
それに何かお若そうですし・・・・・・。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
オウッ、なかなか質問が鋭いのう。お前さんも最近やっとコツをつかんだかのゥ。
これは「幽体離脱」じゃヨ。それに時間移動(タイムスリップ)の術も使ってみたわい※3。
それと御婦人じゃからナ、若い頃の姿の御登場が良いじゃろうテ(チョットした気使い)。

テラダ某: なるほど、そんな術も使えるとは、伊達に古参ユウレイはやってませんな〜(苦笑)。

クリスティーン嬢: チョットおじさん達、何でもいいけど私を忘れないでネ。さっきから退屈してるのヨ。それに、何言ってんかサッパリ解りゃしないじゃない。まあ〜、何でもいいけど、どうして私をここに呼んだわけ、しかもひなびた爺様ユウレイの“裏トマス”とよく解らない東洋人も紹介されるし。でも、そんなことどうでもいいわ。
手早くかたずけちゃいましょ

テラダ某: んッ、よく解らない東洋人(日本人ですッ)。これでも社長業をやっております〜。
{この人綺麗なわりに口が悪いな、それにひなびた爺様ユウレイときたもんだ(笑)}

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
これは失礼した {おじさん達ッて、お前さんも本来は婆さんじゃぞ(苦笑しながら)}。実はクリスティーン嬢には当代きっての「ハニー・トラッパー」としていろいろ話しを聞きたくてのう。同業のマタ・ハリ嬢※4でもよかったんじゃが、彼女はこっち(ユウレイ界)でもモテモテでのう、簡単に会うこともでけんのヨ。

クリスティーン嬢: あらッ、そうそれでジョン(プロフューモ)のことネ、彼にはチョット可哀相なことをしたわネ・・・。私はネ、あの社会主義国家(旧ソビエト)のキツネ共にまんまと嵌められたのヨ。私の事情は複雑でネ、お金の魅力には勝てないワ。でなけりゃコール・ガールになんてなりゃしないわヨ。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
なるほど。現在の社会主義国家(中国、北朝鮮)も未だに似たようなことやっておるな。目を付けた女性の弱みを握って、巧みに操る。これほど単純で効果的なスパイの育成法は無いな。そういえばマリリン(モンロー※5)も「ハニー・トラッパー」だと聞いたが、彼女も忙しくてナ、なかなか会えんのヨ。

テラダ某: へーッ、モンローもそうなんすかッ、そういえばJFKとのこともあるし、変な死に方してるし・・・・。尤も、中国も北朝鮮も貧困等でいろいろ困っている女性はいますよネ。格好の当局の標的になって、勝手に「ハニー・トラッパー」の候補にされかねませんネ。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
でッ、日本はどうじゃその中国、北朝鮮の当局に仕立てられた「ハニー・トラッパー」に結構やられておるじゃろう。ゴキブリと同じで一件見つかればその10倍あると見てよいぞヨ。前回に出た「上海総領事館員自殺事件」や「海上自衛隊員が内部情報を持ち出し中国に行っていた」件もあるようじゃが※6、探っていくと大変じゃのう。

クリスティーン嬢: そうネ〜、日本人とか人種に関係なく、確かなのはジョン(プロヒューモ)もそうだったんだけど堅物の(若い頃お遊びの少ないガリ勉の)殿方ほど色仕掛けには落ちやすいわネ・・(冷笑)。尤も、パーティーなんかでお酒も飲んで、かなり巧妙に仕掛けるから余計嵌まりやすいのよネ。日本の政治家や官僚、外交官のおじさま達も“ジッパー”をちゃんと上げておくことネ(笑)。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
前にも言うたが、日本では政治家や官僚、外交官だけではないぞヨ。財界人までがこの「ハニー・トラッパー」達にやられておるようだぞヨ?このケースではアングラ勢力も絡んでおるようだがのう。

テラダ某: こうなると「ハニー・トラップ」ッて、所謂 “美人局(つつもたせ)” でんな〜。
しかし、日本の社会や国防が隙だらけなのももっともですネ。政治家や財界人が隙だらけだから無理もないんですが、まあ〜、“歴史は夜創られる”とも言うし、この言葉の意味も解るような気もしますヨ。それにしても財界人絡みの場合は金の臭いがプンプンしますね〜。つまり、その〜、どこぞの国や企業へ金や利権の流れを作っていると言うか・・・・。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
おッ、ますます冴えてきおったのう。その調子、その調子。GOOD(グーッ)であるぞヨ(何か、エド・はるみ見たいやな〜)。所詮、人間社会には男と女しかおらんのヨ、人種や言語、環境等は関係ないぞヨ、下半身の会話は世界共通言語じゃ。これで全てGOOD(グーッ)じゃヨ。

クリスティーン嬢: ウゥゥゥ〜ン、下半身の会話ですッて 私の得意分野だわ(ウィンクしながら)。
それそうと、私の頃は、冷戦時代だったから主に国家情報(機密)を欲しがっていたわネ。彼ら(旧ソビエト)はネ、他国の情報も欲しいんだけど自分達のことをどんだけ解っているかも知りたいのヨ。今の社会主義国家もこの辺は同じじゃないかしら
でも、今は冷戦時代も終わって、「ハニー・トラップ」を仕掛ける対象が違ってるんじゃないの〜・・・・・・。

テラダ某: 違うッて、どう違うんです〜。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
そうじゃのう、今の日本は、アングラ勢力絡みで政治家や官僚だけでなく、さしずめ企業経営者が狙われておるのではないのか? 今や、国家間の諜報戦のためではなく、聞くところによると「ハニー・トラップ」による企業乗っ取りがお盛んらしいぞヨ。まあ〜、気がついた時は手遅れじゃがの・・。テラダ某よ、お前さんもせいぜい気をつけなされ。

クリスティーン嬢: でも、このお方、見たとこお金なさそうじゃな〜い

テラダ某: チョットそりゃひどいな、何もそこまで言わなくてもいいんじゃないすかッ。
何にしても今の日本は、いろいろな勢力が交じり合って複雑に蠢きあい、「ハニー・トラップ」を使って、金や利権それに情報等を融通し合っているようなもんですネ。もしそうならドロドロでんナ〜。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
さよう、魔女の毒壷のようなもんじゃな。グツグツ煮えたぎって、もうすぐ沸点を超えて毒が噴出してしまいそうだわい。

クリスティーン嬢: 少しくらいなら吹きこぼれたほうがいいんじゃなくて 毒も少量なら薬になる場合もあるのよ。

テラダ某: それッて、イギリス風の会話ですかい? 何かアイロニーぽいな〜。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
フ〜ムッ、先の上海領事館員のように国を売ることを恥じて自殺した者もおれば、「ハニー・トラップ」を享受しつつ、ぬくぬくと良いおもいをしている売国政治家もおるようだからのう。この際、毒は毒でも“毒を食らわば皿まで”といった考えはやめた方がいいかもナ。

クリスティーン嬢: その通りヨ。グズグズやってるとジョン(プロフューモ)みたいにマスコミにすっぱ抜かれるわヨ。そうなってからじゃ遅いんだからネ

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
じゃが、彼の場合はこの後の対応がいさぎ良かったのう。事件発覚後すぐに要職を辞任し、社会福祉活動に力を注ぎ(ロンドンの福祉事業の為に資金調達等に貢献)、その功績で大英帝国勲章を受けておるぞヨ。
わしもいろいろ言ったが、チットばかし彼を見縊っておったかのう。

クリスティーン嬢: ええ、これでジョンの信頼は回復したわネ。私も内心ホットしているの(涙ながらに)・・・。

テラダ某: んーッ、恐らくプリンシプルの無い往生際の悪い日本の政治家、官僚等の要人たちには、このまねは出来ないかもしれませんネ。
しかし、日本の場合は、どいつもこいつもコロコロと「ハニー・トラップ」に引っ掛っているようですヨ。もし、ホントなら、ほんま情けないわ・・・・トホホ。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
ありゃ シンミリしている場合ではないぞヨ。そろそろわしの幽体エネルギー切れと彼女本体の目覚めの時間じゃぞヨ・・・・・・・。では、またなテラダ某。

クリスティーン嬢: Bye,Bye Mr.テラダ某、楽しかったワ。


テラダ某: あの〜、バイバイッて。しかし、もチットクリスティーン嬢とは話していたかったナ〜・・・・。
   
 
◆以上の一部の文章は資料に基づいて創作されたものです。
   
  <註 解>

※1.「プロフューモ事件(Profumo Affair)」
 
1962年、当時のイギリス、マクミラン保守党政権の陸軍大臣ジョン・プロフューモ(John Profumo:1915〜2006)がソ連側スパイ(英駐在ソ連大使館付海軍武官エフゲニー・イワノフ大佐)とも親交があった高級娼婦(クリスティーン・キーラー)に国家機密を漏らしたと疑惑をかけられた事件。このことで同政権の崩壊につながり「20世紀最大の英政界スキャンダル」と云われる。しかし、彼はクリスティーンとの親密な関係は認めるも、「軍事機密情報の漏洩は決してなかった」と告白し職を辞任。尚、この事件は、1989年に「スキャンダル(Scandal)」のタイトルでイギリスで映画化されているが、現在ではDVD等の入手は困難である。

※2.「ハニー・トラップ(Honey Trap)」
直訳では「蜜の罠」となるが、別名「セクシャル・エントラップメント(Sexual Entrapment)」とも言われる。つまり「性的計略法」である。女性スパイがターゲットの男性を誘惑し、性的関係を利用して懐柔、この事を弱みとし相手を脅迫、機密情報を要求する諜報活動で、人的諜報(ヒューミント)の一種である。スキを見せた標的を現場で殺害する事もある。冷戦時代にソ連で頻繁に行われ、特にKGBの十八番であったと云われる。参考までだが、似たものに「肉体オルグ」がある。これは政治団体等が勧誘対象に異性のメンバーを派遣し、性的に誘惑し加入を迫るというもの。日本では1960年代の学生運動で盛んに使われた。現在では主にカルト教団が信者獲得の方法として用いていると言う。オルグとは勧誘、勧誘員を現す日本の左翼の符丁で、Organization(組織化)のあたま三文字で表示している。

※3.「参考」
「幽体離脱」とは、生きている人間から魂を離脱させるというもので、超科学の分野の用語である。現状では、理論上正式には認知されていない。また、「時間移動(タイムスリップ=Time slip)」はSF小説によく出る用語で、別名タイムトラベル、タイムワープ等と呼ばれる。意味は文字通り時間を自由に移動して過去、未来へ行くというもの。理論上はアインシュタインの「相対性理論」にもあるが、現状では不明確な面も多く、SF小説のテーマとして成り立っている。

※4.「マタ・ハリ(Mata Hari)」
マタ・ハリ(1876〜1917)は本名マルガレータ・ヘールトロイダ・ツェレ(Margaretha Geertruida Zelle)といいマレー系オランダ人の踊り子で高級娼婦。主にパリで活躍していた。彼女は第一次大戦中に多数の仏軍将校や独軍将校と情事を行い、国際的陰謀の道具になったとされるが、彼女の諜報活動がどのようなものであったのかは、歴史研究家も正確には掴んでいない。彼女は1917年に仏で二重スパイとして第一次大戦中に多くの仏・独両軍の兵士を死に至らしめた。との容疑で逮捕され、有罪判決を受け、処刑された。世界で最も有名な女スパイとして「マタ・ハリ」の名称は女スパイの代名詞となった。尚、「マタ・ハリ」とは太陽または「日の眼」を意味するマレー語である。

※5.参考「マリリン・モンロー(Maririn Monroe)スパイ説」
悲劇の大統領として有名な、アメリカ第35代大統領ジョン・F・ケネディとの関係があったといわれる女優マリリン・モンローがスパイであったという説もいまだに根強く存在している。この説は彼女が当時FBIやCIAにマークされていた事によるものだが、真意は不明である。

※6.「参考」
「上海総領事館員自殺事件」に関しては、前回の<放談3月>註解を参照のこと。2006年には、海上自衛隊の一等海曹(某宗教団体に加入していたらしい?)がイージス艦の内部情報を持ち出し、無許可で中国へ渡航していた事件が起きている(この自衛官は後に自殺する)。これらの件に共通するのは、両人とも同一の上海にあるカラオケ店で勤務する現地女性と親密になっている事であるが、その「現地人女性店員こそが中国当局が送り込んだ女スパイで、両人ともハニー・トラップに嵌められたのではないか?」との説が、当時の一部週刊誌等で書かれている。また、一方ではこれらの女性達は必ずしも中国当局が送り込んだスパイではなく、中国公安部の摘発で逮捕された女性店員等が、中国警察や諜報機関に来店客の情報を提供することで投獄を免れる、所謂「司法取 引」が多々あるという説もある。この説の根拠は、通常摘発されたものは投獄されるにもかかわらず、各事件の中国側関係者の投獄例が極めて少なかった事が傍証とされている。

   
   
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04.7.1604.6.1604.5.16