<放談12月>
トマスおじさん、久々のご降臨。
 年の瀬も押し迫って来たある日の宵の口。相も変わらず思索や情報収集、もちろん本業にも勤しんでいるテラダ某ですが、最近はどうも何か物足りません。それもその筈、このところトマスおじさんともトンと御無沙汰です。なにしろ気がつけば前回の放談からは2年と8ヶ月も経っていて、こちらの世界も色々と騒がしいし、そろそろ話しがしたくてウズウズしているようです。年末の挨拶がてら久々にご降臨願いますか!

トマスおじさん:
(トマス・H・モア) 
(ポンッ)よう、テラダ某。“おひさ”だのう。といっても幽霊には時間の概念がないのでな
一応下界の挨拶を言ってみたが、ところで何かご所望か?
(下界では月日がたっているので出没音もそれなりに加算され重低音が利いているようです。)

テラダ某: いきなり何かご所望かッて、何も所望しませんけど、こちらこそ“おひさ”です。それにしてもトマスおじさん“おひさ”なんて言葉どこで覚えたんです〜? 芸妓衆じゃないんですから、それに出没音も何か違うようだし。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア) 
出没音とはひどいのう、熊じゃあるまいし。いや何、幽霊はどこにでも出没・・・あッ やはり出没か。ん、まあ〜その〜つまり時間の感覚と同じで場所もよりどりみどりでな、たまにはその様な処にいくこともあるわい。

テラダ某: その様な処ッて、芸妓衆のいるところですか〜。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
そうじゃヨ、たまにはお前さんのやっている事も研究しなければな。話も出来んじゃろう


テラダ某: 研究にしてはチョット行くところが違ってますが、まぁッ古い人・・いや幽霊だからいいか。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
何をブツブツ言っておる。ところで何も所望しなければ何用でワシを呼んだのじゃ。この前で一応区切りをつけておった筈じゃがの〜。


テラダ某: そんな硬いことをいわないで、ワタシとトマスおじさんの仲じゃないですか。いやネ、最近はこの世もますます腑に落ちないことが多くて世の中を憂いているんです。国民を見ていない政治家やマネー官僚、企業の欺瞞、その他いろいろ。もうたたき売り状態です。どこぞの知事じゃないですけど“どげんかせんといかん”の心境ですヨ。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
ホーッ、つまり自由主義や民主主義の悪いところが露出しておるということだナ。こういう時は強力なカリスマ指導者が必要なんじゃヨ。では今度は“スタさん”でも連れて来るか。

テラダ某: “スタさん”ッて、まさかあの(旧ソビエト共産党の)スターリンのことですか〜? そりゃ勘弁してくださいヨ。今までだってかなり過激な方々がご降臨されてますが、“スタさん”はチョットなー。それに実際指導できるわけでもないし・・・・。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)  
しかしナ、スタさんほど統治能力に長けていた逸材はおらんぞ。それにあやつ はいきなり銃殺とくる、実にシンプルで解り易いわナ。ヨカヨカ・・・。
じゃからして、日本もスタさんに1年程いろいろとやらせてみればよいのヨ。アッというまに改革完了じゃて。そう思わん(薄笑)?


テラダ某: ですから、幽霊なんだし指導できないって! (それにしても日本の民主主義じゃそんなリーダーは出っこないし・・・・。)

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)   
いやー、冗談冗談。奴はこっちでもまだ鼻息が荒くてナ、コチラへきて54年くらいだからのう、俗世のアカが抜けきれてなくて、幽霊も100年以上経たんと成仏・・・いやニュートラルにならんのじゃ。今でも前世の後悔や煩悩で天国にて悶々としておるのじゃヨ。ところで、えーっと他のダレを連れて来ればよいのじゃ・・・・・!

テラダ某: もう〜今回はトマスおじさんのゲストはいいですヨ! それにしてもスタさんは地獄が合ってると思うんですが?

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)  
そう思うじゃろう。だがヤツはあまりにも往生際が悪いでナ、閻魔大王にも見放されてこちらへ島流しされておるのヨ。何とも逆説的じゃがナ。

テラダ某: 天国へのパラドックスですか(映画のタイトルみたい)。それは何か訳ありのようですネ〜。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)  
その通り、例のゴルビー・・・いやミハイル・ゴルバチョフじゃヨ!


テラダ某: んッ、あのペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)のゴルビーですか!

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
そうそう、おまえさんも少しは知っておるのー。


テラダ某: バカにしないでくださいよ〜(怒)! それにしてもスタさんとゴルビーはどう繋がるんです。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
まァー、そう怒るでないわ、要するに1939年8月の世界中が驚いた例の「独 ソ不可侵条約」じゃヨ。

テラダ某: そのくらいワタシも知ってますが、それにしても古い事例を出すんですネー。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
バカもん、よく聞きなされ。あの時スタさんはナ、ヒトラーと互いの勢力範囲やナワバリを決めるのに裏の取引をしておったのヨ。「独ソ不可侵条約秘密議定書」といってナ・・・・。

テラダ某: へーッ、(何か話がヘヴィーになってきたな〜)ところでソレ何ッすか。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
“何ッすかッて”、フニャフニャしおって、今から話すわい! ヤツラは東欧に於いて、あの国はオレのもの、この国もオレのものッてな具合に欲の突っ張り合いでいろいろ裏でやり合った末に互いのナワバリを決めよったのじゃヨ。言わば悪魔の密約ッてとこじゃ、その結果バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)等がソ連軍に進駐され併合されたわけじゃナ。ところでこの条約はオマエの国にも影響を与えておるゾ。1941年に日本はスタさんのソ連と「日ソ中立条約」を結んでおってのう、それと1937年の「日独伊三国防共協定」なんていうのもあったゾ。いずれにしても当時、先の件でスタさんとヒトラーが握手したことが解せんで一番驚いたのは日本であったナ。この時の総理平沼騏一郎は「欧州情勢は複雑怪奇、いわく不可解」とヌカシおって辞職しおったのじゃヨ。そうそう、その平沼の縁者が今もおるぞ。

テラダ某: ホェ〜、だれですか。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
なんじゃ! 今度は気のぬけた返事をしおって、眠くなってきたか。衆議院議員のあの平沼赳夫じゃヨ。もっとも彼は騏一郎の兄のひまごで養子じゃがナ。

テラダ某: へー、それは知らなかったですが、複雑なんですネ。で、くどいようですけどそれがゴルビーにどう繋がるんです。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
ダカラ! オマエも鈍いのう。スタさんはナ、ゴルビーをKGB・・・オッと当時はGPUだったかナ? 兎に角その辺りにまかせて銃殺にでもしておけばよかったと後悔しきりで、日夜煩悶しておるのヨ。

テラダ某: アッ、解りましたヨ。つまりゴルビーのグラスノスチ(情報公開)のおかげでその「秘密議定書」の存在と内容がバレちまったという訳ですネ(ナットク)。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
そうじゃヨ、合点がいったか。そのバルト三国は早速に「秘密議定書」の無効宣言をしてナ、ソ連からの独立を要求したわけじゃナ。これでソ連邦の解体が始まったのじゃヨ。お解りか! それにじゃ、スタさんは毎日ゴルビーと書いた紙を壁に貼って、五寸釘を突き刺しておるゾ。 おー怖わ〜。

テラダ某: そうだったんッすかー(なんだかNHKの「その時歴史が動いた」みたくなってきたナ〜)。つまり国際条約一つとっても裏・表があるってことですネ。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
スタさんの思いからすれば“何が改革(ペレストロイカ)だ余計なことをしおってせっかくヒトラーと渡り合って領土を獲得したというのにアイツ(ゴルビー)がチャラにした。” と怒っておるのヨ。

テラダ某: ナルホドね、日本も改革とか言って某総理と某経済学者が何やら始めてからかれこれ6年経ちましたけど、世の中良くなった感じがしませんヨ。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
フムッ、所詮改革とか政策とかは胡散臭いものヨ、期待するのが愚かじゃの。それに、これにつけこんでいいおもいをする輩が多く出てくる。世の常じゃな。

テラダ某: さすがは古参幽霊だけあってサトリを開いてますナ(冷笑)。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
「規制緩和」はその典型じゃヨ、これは法律の抜け穴を多く排出しておるぞヨ。よく見なされ、政・官・財、はたまた外資系企業、投資ファンド、マスコミや宗教界、それにアングラグループに反権力勢力等の一部が裏で繋がり、トグロを巻いて皆でそれを目指して悪さを企み蠢いておる。これが今の日本社会の実状ではないのかのう?

テラダ某: んーッ、何だか商売ガンバル気がしなくなりましたネ。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
世の中裏も表もあるのじゃ。テラダ某ヨ、裏のことも知らんと金儲けはでけん!
ホレッ、“正直者は馬鹿を見る”という諺が日本にもあるじゃろうテ。

テラダ某: そんなこと裏トマスに言われたくないですヨ、大きなお世話です〜。でも“正直は最良の策(Honesty is the best policy)”ッていう西洋の格言だってあるじゃないッすか。
マッタク、それにしても今回は聞きたくないことを随分聞いちまったし、おかげで今年の年末は落ち込みますヨ。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
相変わらず口の減らないヤツじゃのう、モチット殊勝にならんかい(苦笑)。


テラダ某: ハイハイ・・・、それより近代史の講義はもういいですからッ(怒)! “どげんかせんといかん”はどげんなっちょるとですか(何か曖昧な方言)。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
やはり強力な指導者が必要じゃナ。おーい スタさ〜ん・・・・・。


テラダ某: チョトチョト! もういいですよ。変に出てこられて銃殺されたくないですから。それにしても時間じゃないんですか? 下界での滞在時間の・・・・・。

トマスおじさん:
(トマス・H・モア)
そうじゃったそうじゃった、ウッカリしておったわい。今回はなかなか有意義な会合であったゾ。ではまたなテラダ某。

テラダ某: あッ 忘れてました年末の挨拶・・・・・ッて。 行っちゃいましたヨ。それにしても今回は長かったなー、久ぶりだしまあッ良しとしますか。でもトマスおじさんも時間の概念が無いとか言ってたけど、ほんとに無いな〜。しかし次回は嫌な予感がするナ〜 ブツブツ・・・・・。

   
   
トマスおじさん、久々のご降臨。

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