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<放談その1:トマスおじさん登場!>
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| トマスおじさん: (トマス・H・モア) |
天上の女神と戯れておったのに、呼ばれて出てみたら、こんなところかい! わしが死んでから500年後の極東の島国だと? カブキチョウと
いうのか?? なにやら訳のわからん輩がわんさかおるようだが、どうなっとるんだ、ここは・・・・・。 ふふん、見渡してみればこのあたりは歓楽の街といったところじゃな。まあ良い。いつの世でも男は若く美しい女を求め、女は強く逞しい男を求めるものだ。ところでわしを呼んだ「テラダ某」はどこにおるのだ? |
| テラダ某: | は、こちらに。よくぞご降臨くださいました、トマス・モア様。 私がテラダ某でございます。 |
| トマスおじさん: (トマス・H・モア) |
ちっ、おまえもか。違うのよ! トマス・モアではないの。トマス・Honky・モアなのよ、わしは。わ・か・る? |
| テラダ某: | ・・・・・、は? 「ユートピア」を書かれた、かのモア様ではない・・・・・と。 |
| トマスおじさん: (トマス・H・モア) |
ヤツと間違えるトンマも大勢おるがな。迷惑なのじゃ、あの頑固者と一緒にされるのは。まあ、わしはヤツのもうひとつの人格ではあるが、ヤツが表ならわしは裏、影の声なわけよ。ということだから、人違い・・・・・いや、・・・・・霊違いなら帰るぞ。 |
| テラダ某: | ま、ま。お待ちください。(裏トマスもちょっと面白そうだぞ) Honky・モア様、せっかくお出ましいただいたのですから、私の話を聞いてください。実は私、この街で店をやっておりまして、近頃の世の中や人の心の変わり様を憂いておるのです。ぜひぜひご高説を賜りたく・・・・・。 |
| トマスおじさん: (トマス・H・モア) |
聞かせてやっても良いが、わし、責任持たんけんね。あの「ユートピア」という夢物語にしても、トマスのヤツを裏から煽って書かせたはいいが、
冗談パロディのつもりがヤツの生真面目さが災いして、王政社会への辛辣な批判になってしまった。また後世にもあの話を真に受けた輩が、共産社会なるものを真剣に作ろうともしたしな。あれは一見、理想社会ではあるが、人間の根源的な欲望を無視しておる。端から無理な話なのじゃ。だから風刺パロディだと言ったのに。結局、ヤツは幽閉されたうえ処刑されて、わしまでいい迷惑じゃ。 |
| テラダ某: | はぁ、迷惑はごもっともですが、実は私も、社会の固定観念と世間の偏見に直面して、こんちくしょう!と、日夜戦っておるのですが・・・・・。 |
| トマスおじさん: (トマス・H・モア) |
それがなんだというんだ |
| テラダ某: | はい。ご覧のように星の数ほどある夜の店々。十束ひと絡げに水商売と呼ばれておりますが、私は、店というもの私の分身のように思っておりまして、店の設えにも働いてくれる女性やスタッフにも、私は誇りを持っております。だからこそ、オンナを売り物にオトコをたぶらかすと思われがちな我々への世間の固定観念や、それが水商売よとばかりに流行りを追いかけ、ますます自分自身の肩身を狭くさせている業界の風潮に、絶対に飲み込まれるものかと、必死にもがいているわけでして・・・・・。 |
| トマスおじさん: (トマス・H・モア) |
ふん、そんなことか。いちいち止めておけ、良いではないか。そう思う人間にはそう思わせておけば。それで金さえきっちりもらえれば、商売
繁盛、めでたしめでたし。
だいいち、オトコはいくつになっても、若くて美しいオンナを求めるものよ。それは人間の根源的な欲望だろうが。だがそればかりではないことは、おまえが気負わずとも、いつの世でもわかる人間はちゃんといるものさ。 |
| テラダ某: | はぁ、でもそんな悠長なことも言ってられないんですけど。 商売ですし・・・・・。 |
| トマスおじさん: (トマス・H・モア) |
いいかね。遊びというものは知的な行動なのだよ。遊ぶには、まずルールを理解するアタマが必要、おもしろいと感じる感性が必要、そして遊びをモノにするには経験が必要。夜遊びだって同じ。おまえも、おまえの回りも同じこと。おまえは世間の偏見を変えたいと思っているらしいが、世間はマジョリティ、遊びは高度になればなるほどマイノリティ。だから、そう簡単に変わるものじゃないよ。 見てみろ。表のトマスのヤツは敬虔なキリスト教徒だったがために、禁欲と理性の盲目的な呪縛から自分を開放できなかったのだろうな。だから冗談も書けないような遊び下手でもあったわけだ。わしの声をもっと聞いて、もう少し嵌めをはずしておけば、もっと違った人生だったかもしれんのにな・・・・・。 |
| テラダ某: | ですが、Honky・モア様。表のトマス・モア様は空想的社会主義という革命的な提言をなされたではないですか。私もそれにあやかって、空想的懐古主義というテーマで店をやってるんですけど。 |
| トマスおじさん: (トマス・H・モア) |
そりゃ、懐古は根源的な欲望とつながっているからな。つまりファンタジーなわけだが、しかし、こじつけも甚だしい。訳のわからんことを言
っているうちは、おまえのジレンマは消えぬわ。 |
| テラダ某: | はぁ、ごもっとも・・・・・。 |
| トマスおじさん: (トマス・H・モア) |
おっと、そろそろわしの出現時間が切れそうじゃ。なにせ違う次元から現れなきゃいけないものでね。おまえの戯言に付き合うのも5分が限界
なのだよ。だから他に聞きたい事があったら、次にしてくれ。わしを呼び寄せるときは・・・・・、そうだな、「トマスおじさん」とでも呼んでくれ。ちゃんと表のトマス・モアと区別しておかないとな。さもないと知らんぞ。ヤツが出てきたら怖いぞ。なにせ冗談の通じないやつだからな。ちゃんと覚えておけよ。ではテラダ某、またな・・・・・。 |
| テラダ某: | おいおい。オッサン、勝手なこと言うだけ言って、消えちまったよ・・・・・(苦笑)。 |
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トマスおじさん登場!の巻、おしまい。
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